R&D

先端技術開発

小型動物の自動実験の実現へ向けて

クライアント名

理化学研究所

2021年8月 非常に興味深い検討依頼を受けました。
その依頼は理化学研究所の冬眠生物学研究チームからであり、人工冬眠の実現を目指す重要なプロジェクトの一環でした。

このプロジェクトでは、マウスを用いた動物実験により、冬眠の基本原理を解明することを目的としていました。
SMEへの具体的な要求は、マウスなどの小型動物のバイタルデータや環境データを収集するモニタリングシステムと、小動物を冬眠状態に誘導するための脳神経を刺激するLED自動制御システムの開発でした。
私たちは、冬眠生物学研究チームの使命に感銘し、DMS事業で培ってきた通信技術と組立技術の専門知識を結集して、高度なデバイス開発に取り組むことにしました。

このプロジェクトが冬眠の謎を解明し、将来的には人工冬眠の実現に繋がる一助となることを願いつつ、全力で共同研究に取り組んでおります。

 

▼▼以下、理化学研究所 生命機能科学研究センター 研究室WEBサイト▼▼

砂川 玄志郎 | 冬眠生物学研究チーム | 理化学研究所BDR (riken.jp)

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人工冬眠と動物実験の課題

一部の哺乳類は自身の代謝を低下させて休眠という省エネ状態(能動的低代謝)に入ることがあります。数ヶ月の休眠を冬眠、数時間の休眠を日内休眠と呼び、冬眠動物のように人間を安全に休眠状態に誘導できれば、救命できない症例を減少させたり、重症患者の搬送や臓器の長期保存、全身麻酔の安全化など、臨床における数々の課題を克服する可能性があります。
さらに、人工冬眠を通じて寿命を延ばす可能性があれば、未来への時間の拡張や、遠い宇宙への旅など、人類の時空間の概念を大幅に広げることも考えられます。

現在、人工冬眠の実現を目指し、マウスを用いた研究が進められています。

しかし、バイタルデータを収集する方法や冬眠を誘導する手法について、効率性、精度、動物愛護などのさまざまな課題が残っています。

小動物の負担への配慮

動物実験を行う際には、動物愛護の観点から、動物に与える負担をできる限り軽減することが必要です。

今回開発するシステムは、バイタルデータを取得するセンサ、脳神経を刺激するLEDを体内に埋め込みます。体外とのデータ通信を無線通信で行い、且つ電池レスとすることにより、小型・軽量化・非拘束を実現し、既存システムと比較して小動物への負担を軽減することを目標としています。

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JAXA RFP8への応募

共同研究を進める上で、資金調達は重要な課題です。
今回開発する小型動物のバイタルデータのモニタリングシステムを応用することにより、宇宙での小型動物実験を自動化でき、宇宙飛行士の負担軽減、宇宙研究の進歩に貢献できる可能性があります。

このような背景から、宇宙航空研究開発機構 第8回研究提案募集(JAXA RFP8)へ「小動物の自動実験を実現する超小型インプランタブル生体制御システムの開発/共通技術 」を応募し、2022年12月、無事採択されました。
この採択により、共同開発に必要な資金面のネックが解消され、研究プロジェクトが円滑に進行できるようになりました。
宇宙研究の進歩に寄与すると同時に、共同研究者としての貢献も大きくなると予想されます。

無線通信小型センサーモジュールの開発

通信センサーモジュールの製作は、プロジェクトの第一歩であり、重要なステップです。
試行錯誤の繰り返しをしながら、プロジェクトの成功に向けて開発を進めています。

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